第16回当事者研究会


2012年12月9日(日)今年最後のピアリンク当事者研究会を開催しました。今回もたくさんの方々に来ていただけて嬉しかったです。

 

 

 

午前の部 当事者研究発表会


今日は、福島で行われた「当事者研究全国交流会」で発表してきた佐藤さん、関口さん、美帆さんと、小島さん、の計4人が研究を発表してくれる予定でしたが、美帆さんは順調に冬眠期に入りお休み。3人が発表して、美帆さんの福島のビデオをみんなで観ました。

 

 

 

仲間のひとりとしての簡単な感想ですが、何回か聴いたことのある発表もありましたが、初めて発表するときのみんなの勇気を思い出したり、またみんなが日々順調に苦労を重ねながら生きていている姿と研究内容が重なって、本当に心震えるような感動がありました。

 

 

弱さの情報公開をするというのは、とっても大変なことです。3人の研究発表と美帆さんのVTRに、たくさんの拍手がわき起こりました。

 

 

記録撮影しているビデオに美帆さん宛のメッセージを残してくれた方々に、とてもこころが温まりました。

 

 

温かい雰囲気のうちに午前の部は終了しました。

 

 

午後の部 母親との関係の研究


テーマを出してくださったナラさん(仮)は、東京で舞台関係の仕事をしていましたが、父親が病気のため母親の助けにならなければと思い、地元に帰ってきました。

 

人前で話すのが苦手ということをテーマにしていたナラさんですが、実は誰にも話せなかった苦労がありました。

 

ナラさんが産まれる前から母親は宗教活動に携わっていて、ナラさんは幼少期から活動に参加していました。

 

母親に友達を選ばれてしまったり、門限が厳しかったり、奉仕活動に積極的に参加しなければならなかったことです。

 

母親はナラさんにエリート宗教者になってほしいと願っていたようです。しかしナラさんは自分の進みたい道があり、それが遮断されてしまったような気がしています。今はそのことをあまり考えないようにしているそうです。

 

「自分みたいな二世信者を増やしたくない」とナラさんはおっしゃってました。

 

母親は宗教にすがるしかなっかたのかも知れないが、ナラさんは活動をする意味を失ってしまい、母親と分かり合えなくなりました。

 

普段でも母親と話をすると、宗教フィルターを通した言葉が帰ってきて困惑します。でもナラさんの本心は母親とわかりあいたい。

 

もうひとつは教えなどを学んできて、自分は真面目で聖人君子であらなければいけないという価値観をもって苦しんだとのことです。このことは参加者皆さんの中にも共感された方がいらっしゃいました。宗教に関わらず一般にある苦労なんですね。

 

母親の話からずれてしまいましたとナラさん、研究を続けていきます。

 

ナラさんは母親に対して宗教をやめてほしいとかではなく、母親のすべてを受け入れていきたい気持ちがあります。

 

では母親を受け入れていくためにはどのようにしていったらいいか皆さんからアイデアをいただきました。

 

皆さんは母親との関係で経験した苦労を語った上で、自分のアイデアを出してくれました。

 

「母親をひとりの弱さを抱えた人間として見ていく」「もうすでに受け入れているのでは」「自分が親になる」

 

最後にナラさんは「たくさんの方に悩みを聞いてもらえ、今までにない経験ができました。ひとりでは辛かったと思います」とおっしゃってくれました。

 

母親との関係性は皆さんが持っている苦労のテーマなんだなと改めて感じました。

 

 

 


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