今回もたくさんの方々においでいただきましてありがとうございました。華蔵寺クリニックの精神保健福祉士の間聡さんをお迎えして、森田療法を学び、当事者研究との繋がりを見つけていきました。
前半は、森田療法の雰囲気を知ろうという形で始まりました。実際にスライドを使いながらの説明で、具体例を交えながら進んでいきました。
森田療法のテーマは、生きていくうえで誰もが出会う不安や恐れ、迷いそれに伴う苦しみという事でした。不安や恐れにとらわれると暮らし方は逃げ腰で消極的になる。だからといってそれらをいらないものしてみていない。いらないものだから捨てよう、敵だからやっつけよう、克服しようと思ってもそれはできない事だそうです。
なぜなら不安や恐れは欲望でありこうなりたいという希望そのものの現われであり、コインの裏表の関係にあり切り離す事はできないそうです。かといって今の自分に満足し、欲をなくせば不安などから解放されるわけでもなく、逆に希望が大きいほど不安や恐れが大きくなり些細な事にいつまでもこだわり続けてしまうそうです。そこが印象として強く残りました。森田療法には理想論はないそうです。それは諦めるという事ではなく、事実をちゃんとつかまえて、できない事はたくさんありそれらをおまかせして自分が今現在ここでできる事に努力奮闘する。つまり、そのままでいいからその境遇でできる事をやっていけばいいという事でした。
後半は、当事者研究に森田療法をとりいれてみようという形でした。実際の自己病名の紹介や今までの苦労の経験からどうしてこのような自己病名になったのかを1問1答形式で、どの部分が前半のどの部分になるのか、スライドとホワイトボートを使ってパターンを書き出したりしながら進んでいきました。
そのなかで本人のどんな希望があってその為にどんな事をやっていたのか、現在頑張っているのかをだしました。本人の中ではあまりでてこずその場にいた他の方からも意見をだしてもらいました。そうすると無意識にやっていて自覚していないところがでてきました。大切なのは、今現在できる事に努力をする事。自分がすでにやっている事に気がつくのはもっと大事なのだそうです。
まとめとしては、感想にもあったのですが当事者研究も森田療法も困難を抱えて生きていく中で自分の人生にどう向き合っていくかという態度の1つという意味で深い部分で繋がっているのではないかという事になりました。
午後の部はライブ当事者研究を行いました。
前半はAさんの研究で、テーマは「ストレスコーピング(自分助け)について」でした。Aさんの自己病名は「ジェットコースター・フェラーリ症候群」で全力疾走、「マグロ系」の苦労があるAさん。
そんなAさんは今職場で施設長から仕事を丸投げされ任せられたり、他の同僚ができない仕事を引き受けたりして、全力疾走されてるそうです。
そして、疲れた自分を助ける為の自分助けも色々となさっているのですが、それにも全力。休まる暇が無く、先日潰れてしまったそうです。
潰れて休んでる時も「休むのがつらい、申し訳ない。しかし、無理して行くのもつらい」と考えてしまい、苦労しているそうです。
そこで、Aさんの苦労のサイクルを書いて、会場の皆さんと一緒に眺めてみることにしました。色々な質問が出てくる中、「真面目」「仕事への意欲がすごい」「優しい」といったAさんの良い所を出してくれる方もいました。様々な質問でわかったことは、Aさんはアクセルを踏みたくないのに踏まされてしまい、全力疾走をしてしまう。ジェットコースターでいう、絶頂にいることに気づき、マズいとは思っていても止まれず、落ちていく。
そんな苦労の「パターン」にご本人は「分かっているのにハマってしまう」とのこと。
そこで、自分の「パターン」に、はまらないようにするにはどうしたらいいかを皆に聞いてみることにしました。
「仕事はチームでやるもの」や「60点でOK」といった考え方をしてみる。身体のサインに注目してみる、といったアイディアが出てきました。その中でもAさんのお気に入りだったのが「スマートアシストを考える」でした。スマートアシストはスピードが出すぎた時、ぶつかる前に止まってくれる自動車のシステムだそうです。全力疾走系が多いピアリンクスタッフからも「是非、開発してもらいたい」との声も出て、笑いに包まれながら、Aさんの当事者研究は終わりました。
後半はHさんの「市内に引っ越そうか、どうしようか」という相談でした。
現在、市外に住んでいるHさん。
Hさんは華蔵寺クリニックのデイケアに通っているのですが、住んでいる家から遠いため、市内に引っ越してきたいそうです。
引越し先の団地も決めているのですが、色々と不安がある為、他の人から情報がほしいそうです。ということで、会場の皆さんから聞いてみることにしました。
偶然にも、予定している団地に住んでいる方がいたので、その方に団地についての情報を聞いてみることにしました。
家賃について、近くのスーパーやコンビニ、病院の数について、団地に住むメリットやデメリットなどなど、色々と聞くことができました。
そんな情報を聞いて、Hさんは「まだ時間があるので、もう少し考えてみることにします」とのこと。
ゆっくりと考えて、いい住まいが見つかるといいですね。
最後に前回のピアリンクで相談してくださったNさんの宿題報告をしてもらい、終わりになりました。