第23回当事者研究会


 今回のピアリンクは午後の部のみでしたが、たくさんの方が来て下さいました。部屋の後ろのテーブルにはスタッフS君の作ったしましま靴下(ルームシューズ)も各種取り揃えられ、にぎやかでした。

 

 さて、午後の部が始まります。最初は前回発表して下さった2名の振り返りをしました。Kさんのコミュニケーションの苦労と、Sさんの会社時代の苦労がいまだによみがえる、というテーマでした。

 

 そして本題です。前回も話して下さったKさんが、職場での苦労を発表して下さいました。職場で3日間無断欠勤をした相手に、「社会人として常識がないですね!」ととがめたところ、相手と取っ組み合いのけんかになったということです。このけんかに至るまでにKさんがしてきたことを挙げると、親身になって相手に仕事を教えていたことがわかってきました。もう少し上手に相手に伝えたい、ということで皆からアイデアを募ると、たくさん出てきました。「あなたが休んで『私は』心配でした」という私発信のメッセージ、「休んでるけど、どうしたの?」と伝える、ユニークなものでは、自分の障害についての本を上司にプレゼントし理解してもらう、というものもありました。Kさんは私発信のメッセージにチャレンジしてみると話されました。

 

 2題目には、「大変緊張しています」と話しながら、Oさんがテーマを挙げてくれました。Oさんはある日、甥っこや姪っこの前で怒鳴る父を止めようと怒りますが、父が怒鳴るのをやめず、壁を叩いたら穴があいたそうです。壁って薄いんですね…とOさんは苦笑いしていました。すでにOさんの仲間の中で相談もされていたので、今日はOさんのよいところ、頑張っているところを皆で挙げることにしました。何より多く挙がったのは、Oさんの優しさ、思いやりでした。甥っこや姪っ子に怖い思いをさせたくない一心で、自分自身も怖いと感じてきた父親に立ち向かったOさんは、立派だ、勇気がある、という意見も出ました。相談を重ねる前向きさ、自分の中で起きていることを冷静に把握できているところなどもいいね、と声が上がりました。これを聞いて、「ここに来て話し終わると、いつもすごく気持ちがいいです」とOさんは笑顔で言い、会は終わりました。

 

今回は2題とも怒りがテーマになりましたが、どちらもKさんやOさんの優しさ、真面目さ、正義感からきているな、と感じました。怒りという、ちょっと不安になる現象も、当事者研究にかかると本人のよさ・頑張っているところが見えてくるようです。参加して下さった皆さん、ありがとうございました!