さわやかな冬晴れの中、第29回当事者研究会が開催されました。
午前の部はピアリンクメンバーの最新の研究成果を発表しました。
●ピアリンク全体としての研究
ピアサポートをする上での苦労を書き出してみました。ピアリンクは今、人材不足に陥っています。存続の危機です(笑)。しかしながら、来場された方々から「是非存続させて」との嬉しいお言葉をいただきました。
●Kさん「引きこもりのこじらせ方・働くことの意味」
デイケアを利用しながら就労するまでに回復したKさんの研究です。父親に対する葛藤の思いを持ちながらも就労に向けて頑張ってきた経緯が紹介されました。「仕事を続けるために自分をいたわる」という言葉が大変印象的でした。
●Mさん「引きこもりを支えた爆発」
15年に及ぶ引きこもりの経験を持つMさん。研究の成果として、「爆発に助けられていた。社会に出られないことから目をそらす効果があった」ということが挙げられました。
●Kさん「とらわれの研究」
躁うつ病をもつKさんです。Kさんも長い研究歴を持ち、「自分から兄に対して壁を作っていた」ことや「ピアサポート(訪問看護)に助けられた」ことなどが挙げられました。
午後の部前半は、来場された方々からの持ち込み研究となりました。
●Yさん
Yさんの研究は「まるで父親の口と自分の口がくっついちゃうような」感覚があるという、大変ユーモアなものです。研究が深まるにつれ、実は父親とコミュニケーションがとりたいという強い願望があることが明らかになりました。また、研究に必要なものとして、「場」と「仲間」が必要なことを挙げていました。とても先鋭的な研究でこれからの研究が楽しみです。
●Aさん
ピアリンクメンバーにも多い全力疾走系の研究です。Aさんは研究の末に「自分の取り扱い説明書」なるものをつくりあげました。それを周りの人たちに示すことによって自分を助けるという方法です。
●Yさん
うつ病の再発を経ての研究です。Yさんは「高い目標を立てて、自分の限界を超えて頑張る」というやりかたで突っ走ってきました。青年実業家を目指していたこともあったそうです。研究成果として、人との「差別化」よりも「共通して弱い部分」に気づくことが大事であることに気付いたとのことです。
午後の部後半は、向谷地宣明さんによるライブ当事者研究です。
今回はピアリンク初参加のYさん。気分変調性障害という診断を受けています。他人の自分に対する要望に完璧にこたえようとするあまり、疲れてバタンと寝てしまうそうです。今後は「バタンすることの意味」を考えていくという研究方針が提示されました。Yさんの研究に対しては、来場者の方々からもたくさんの共感の声が挙がりました。是非次回もピアリンクに参加して研究を深めてもらいたいところです。
以上のように今回は大変内容盛りだくさんの研究会となりました。
ピアリンクは来場者の方々のおかげで何とか存続しそうですので(笑)、是非次回もたくさんの方にいらしていただきたいと思います!